- 夏の伸は、はっきりいってエロい。
どこがといえば、先ずは、その汗。
生え際を流れ落ちる水滴ですら、そこらの奴とは別もんだ。
それを、「あちぃ〜」とか言いながら、指先でついと拭う様など、もう、誘っているとしか思えない。
じっとりと滲む汗もたまらない。
手団扇でハタハタと扇くのは、「もっと汗、かかせて」という合図だと俺は思っている。
といって、じゃあ、夏の伸じゃなきゃイヤなのかと問われれば、それば違う!
この季節の伸は、それはそれで素晴らしいのだ。
とにかく、冬の伸は、ぎゅっとしたくなる。
玄関を開けたあいつの、ほっぺたと鼻の頭が赤くなってる日には、もう悶絶もんだ。
靴を脱ぎながら「さみぃ〜」とか言って、顔を上げたその瞬間のワクワク感たるや!
コートを脱いだ途端に、奴は俺の腕の中だ。
そのために、俺は、自分の体をガンガンに暖めて待っている。
そして・・・、そう!
冬の伸は、夏の伸に比べて、圧倒的に大人しい!
ぬっくぬくの俺に、ぎゅぅうううっと、しがみついてくることもあったりするのだ!
「あったかぁ〜い・・・」と呟くあいつの声と顔が、どんなに甘くうっとりしているか。
はぁ〜・・・、思い出すだけでもキュンキュンくる・・・っ。
このことが、どれほど俺に幸せを齎してくれているか、きっと他の奴らにはわかるまい。
伸ですらも知らないに違いない。
そうして俺は、さらに伸をぎゅっと抱きしめる。
と、殴られるけど。
END
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