「お前みたいな妹が欲しかったなぁ〜」
はぁっ?!何言ってんだお前っ
間髪入れず入った大ツッコミは何故か僕の中に留まったままだった。
その代り、面に現れたその内を、彼へと向けた。
だが残念なことに、それはまったく通じなかった。
この苦虫を噛み潰したような顔に対し、彼は、ニコリを微笑みを返すと、
まるで何事もなかったかのように、再び読んでいた雑誌へと視線を落とした。
おいおいおいっ、ちょっと待てぃ!
突然意味不明な言葉を吐いといて、なんだその態度はっ、放置プレイかっ!
それにっ、その“妹”ってなんなんだよっ
年上の、しかも、同性の僕に向かって、“妹”って・・・っ!
おっかしいだろっっ!
じゃ、何か?
いつもいつも、突然やってきて、散らかし放題な兄の後ろをついて片づけながら、
ガミガミ小言を言う、そんな“妹”が、お前は欲しかったっていうのか?!!?
アレを、
「もぉっ、お兄ちゃんたらっ、すぐ散らかすんだから〜っ」
みたいな妄想に変換させてるってことか?!?!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・オエ
彼は、こうして僕の住むマンションに出入りするようになってから、随分と積極的に
あるアプローチをしてくるようになった。
それはつまり・・・まぁ、いわゆる、そういう意味での。
それはそれはもうあからさまに。
猛アタックと言っていい。
にもかかわらず、だ。
で、の、あのナゾのセリフ。
まったくもって、ワケも意味もわからない。
お前の“妹”像って、いったい、どんなだっ!
そのうえ、“妹”にしたい相手を口説いてるって、どういうことだ?!
だいじょぶ、か・・・?
こいつは相当ヤバイんじゃ・・・と、僕は、当人に怒るよりも、呆れるよりも、ドン引きするよりも、
心配になった。
そうして、その他、彼の色んな部分を心配し続けて早、10ン年。
何故かその妄想野郎と一緒に暮らしてる僕がいた。
END
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