キモイ・・・
僕の同居人(その同居人は僕を恋人と呼んでいるけれど)は、
そもそも一風変わった人物と評されている。
そして僕自身も、それは重々了解済。
なんだけれども、やっぱりこの光景は、ちょっとキモイ・・・。
同居人、羽柴当麻は、先ほどから、パソコンの前で、ずっと
ニヤニヤしている。
ニヤニヤしたまま、何かを打っている様子はなく、ただ、画面を
見ては、ニタ〜ん、としているのだ。
と、同時に、こちらにもチラチラと視線を飛ばしてくる。
僕は、小さく溜息をつき、奴に近づいた。
「なに、さっきから、ニヤついてんだよ」
そう、彼は、僕にこう言ってもらいたかったのに違いない。
その証拠に、よくぞ訊いてくれました!と、言わんばかりの笑顔が弾け。
「なぁなぁ、これ見て!」
手招きして、ノートPCの画面を僕に向けた。
ところが、、、
「・・・で?これが、なに?」
そこには、彼の仕事に関する事務的なメールが映っているだけだった。
「えーっ、わからん?ここよ、ここ、ここっ!見て〜っ、たまらんやろっ」
指で指された箇所を見て、僕は、すぐさまこの場から立ち去りたくなった。
彼は天才だが、本当に、反義語と紙一重なところがある。
「それのどこが『たまらん』のか、僕にはさっぱりわからないね」
「えええっ?!!?なんでぇ〜?だって、これ、めっっっちゃ妄想膨らまへん?」
「膨らまないし、膨らませないでほしい」
「なんでやねんっ。ええ言葉やなのにぃ〜」
そうムクれながらも、彼は、その文字を見て、またニヤけた。
メールの、文末、の、ちょっと手前。
そこにあったのは・・・
“追伸”
END
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