思ってもみなかった。
考えたことすらなかった。

今、僕がしていること。

僕自身が選んで、決めたこと。


ただ・・・、それに溺れるなんて。






―――予想外だった。





「はぁっ、ぁん・・・っ、あっ・・・あっ・・・あんっ、んんぅううぅっはぁんっ」

こんな声を出して、男に跨り、その象徴を下の口で銜え込み、腰を振る自分。

欲情している。
快楽に酔っている。

内壁に竿が擦れ、先端が奥に当たる度、痺れるような快感が全身を包む。
自分のものも、固く腹につくほどに勃ち上がり、蜜を垂らし揺れている。

弾ける瞬間は、もうすぐそこだ。

この感覚が堪らない。


信じられないけれど、そう思うようになった。


下で呻く彼の身体は汗に光り、僕の動きに合わせるように、突き上げてくる。
眉間には苦しげな皺が寄っているが、口角は上向きに歪んでいる。

吐き出す息が、僕の身体を掠める。

その貌と熱が、さらに僕を煽る。


この顔にそんな思いを抱くようになるとは。
何も知らなかった頃の僕には意外もいいとこだ。


二人の動きは激しさを増し、形振り構わぬ態になる。

「んああっ!」

当麻がこらえきれないといった声をあげ、僕の身体を掴むと、突然体位を入れ替えた。

「ぁあああっっ」

ズルリとペニスが抜け、ベッドに叩きつけられた。
足首を持ち、僕を半分折りにする当麻。
ヒクついて涎を垂らす孔が天を向いた。

焦らされるのは好きじゃない。

「は・・・やく・・・・・・っ」

獣と化した当麻が、唇をひと舐めした。

その姿に見惚れつつも、胸は期待に膨らみ、心臓は波打った。

猛った当麻が僕を刺した。
そこには遠慮の欠片もない。

そして僕は、悦びの叫びを迸らせる。

混沌とした熱の内で絡み合い、無我夢中に互いを貪る。


もっと!もっと!もっと!


と、何度も何度もそれだけを願い、音にする。
自分は壊れてしまったのだと思うほどに。
ひたすら当麻の身体に執着し、彼を搾り取る。

好きで好きでしようがないのは、この狂ったようなセックスなのか。


それとも彼のことなのか。


僕はいまだにわからないでいる。




END

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